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麦芽(ばくが、イギリス語で”malt”:モルト)とは、大麦の種子を発芽させたものである。大麦の種子中には不活性の糖化酵素(アミラーゼ)が多量に含まれており、発芽によって酵素が活性化される。これによって、種子中の澱粉質が糖化され麦芽糖が生成される。大麦を発芽させる事で澱粉の糖化という有用な化学反応が容易に得られることから酒、酢の醸造や水飴の製造に古くから用いられてきた。

本来は、発芽したばかりの種子の内部で糖化酵素が作られて、高い酵素活性を発現するのは、根と芽が出て光合成によってエネルギー合成が出来るようになるまでの期間、成長に必要なエネルギーを種子中の澱粉質から得る為の普遍性の高い生体メカニズムである。このメカニズムは大麦に限らず全ての種子に共通するものであり、米や小麦、トウモロコシなどでも発芽によって同様の現象が起きる。しかし、糖化酵素の量や活性は植物の種類により大きく異なり、米やとうもろこしは比較的酵素の量が少ない。食用に適しかつ安価で容易に入手できる穀物の中では大麦が最も酵素の質、量ともに優れている。

大麦は小麦と比べて栽培環境の許容性が広く、また収量も多いため、古代から重要な穀物であった。しかし、小麦のように製粉するのは難しく、またグルテンを欠くこともあってパンの製造には適さない。さらに煮えにくいため、粟、稗のような雑穀や米のように丸ままの粒を精白して炊飯したり粥に炊いて食べるのにも適さない。

このような大麦を主食とするため、古代以来の主要な調理方法は大きく2種類に分かれる。ひとつは挽き割りにして煮えやすくした上で粥に炊くというもので、もうひとつはもやし状に発芽させ、つまり麦芽にした上で乾燥させるというものであった。乾燥させた麦芽は砕けやすく、また発現した酵素活性により消化もよくなることから、まず麦芽粉末でパンを作る調理方法が行われるようになったと推定されている。パンは焼くために燃料を多く消費するので、ある程度の量をまとめて焼いてしばらく食いつなぐことがしばしば行われる。焼いてから時間の経って硬くなったパンは水などの液体に浸してやわらかくして食べることが多いが、麦芽パンを水に浸してから食べ残したものをしばらく放置すると甘くなり、さらに醗酵してアルコール飲料となることが発見され、ビールが造られるようになったのが麦芽の酵素利用の始まりであったと考えられている。こうして麦芽の食品加工における有効性が広く認知されると、より優れた酵素活性を持つ大麦が選抜されるようになり、ビール麦のような麦芽専用の大麦品種が誕生するようになった。

大麦は近年まで世界各地で主要な食料穀物であり続けたが、近代農業によって農業生産力が上昇し、小麦が以前と比べて安価かつ大量に供給されるようになると、より高級視されてきた小麦のパンに穀物消費の主軸が移行した。そのため、今日では大麦の最大の用途は麦芽製造向けとなっている。

なお、上記のように米は発芽させても糖化酵素の量が少なく澱粉糖化の効率が悪い。このため、米を主要な穀物として栽培している日本では、糖化酵素を大量に生成するコウジカビを蒸米に植付けて糖化処理を行う手法が開発され利用されてきた。しかし、『延喜式』の「造酒司(さけのつかさ)」(巻40)には、米、米麹、小麦萌(こむぎもやし=小麦の麦芽)、酒を原料とする「三種糟(さんしゅそう)」という酒が登場する。このことから、少なくとも平安時代には麦芽を用いた醸造が、米麹と組み合わせてではあるが日本でも行われていたことが分かる。

麦芽の製造方法は麦を発芽させ発芽後に乾燥焙煎する。 発芽の的は澱粉の異性化、酵素の生産など。 酵素を造り出す事によって醸造のプロセスで澱粉を糖に変換することが出来る。 乾燥の的は発芽を止めるためと、貯蔵的である。 焙煎の的は色、香り、味に影響する。 たとえば日本で主流のピルスナータイプのビールには比較的色の淡い麦芽を使う。 色の濃い黒ビールやスタウトなどには良く焙煎した色の濃い麦芽を使う。 乾燥焙煎の後には麦芽の芽と根を取り除かなければならない。 なぜなら貯蔵期間に根と芽が空気中の水分を吸収してしまうからだ。 水分を多く含んだ麦芽はカビ等の原因になる。 水分含有量は4%以下が適している。

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