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くち)は、消化管の最前端である。食物を取り入れる部分であり、食物を分断し、把持し、取り込むための構造が備わっていると同時に、鼻腔と並んで呼吸器の末端ともなっている。文脈により口腔(こうこう)ともいう。なお口腔の読みの例外として、日本医学界においては(こうくう)を正式とする。
生物学に限らず、一般に穴等の開口部を指して口と呼び、それを機軸として、慣用句として様々な意味合いを持つ言葉に発展してきた。

目次
1 生物学的性質
2 口と健康
2.1 口の病気
3 口腔の異常
3.1 先天的異常
4 口具
5 通念
6 医学
7 関連項目
生物学的性質


この節には「独自研究」に基づいた記述が含まれているおそれがあります。これを解消するためにある情報の根拠だけではなく、信頼可能な解釈、評価、分析、総合の根拠となる出典を示してください。このタグは2009年11月に貼り付けられました。
口はそれを所有する生物によって構成要素や構造が様々であり、その機能に見合った生活をしている。人という地上脊椎動物に限らず、消化器官系の初端となっており、専ら栄養素の摂取等に用いられる。多く動物の口には付属器官があり、それには舌や歯、外分泌器等を備え、歯による咀嚼の様な食餌の補助に限らず、外敵に対抗し身を守る手段として利用している。
人を含め多くの脊椎動物の口には歯に相当するものが内部に付属しており、摂食に伴う咀嚼や消化液との攪拌という機能以外に発声の補助や味覚、呼吸等様々な行動を補助するものとなっている。また、外部唇と開閉部のみを指して口とよぶ事がある。
形態学的には、口とは顔面前面部に顎関節の補助によって開閉する開口部を指し、粘膜に覆われ様々な付属器官を持つ消化器官の開口端とされる。
歯は食物の消化の一環として咀嚼の他、外部に対する攻撃、モノの把持を行う。
舌は味覚を司るだけでなく、口腔内に入ってきた食物の攪拌を行う。
唾液腺には顎下腺、耳下腺、舌下腺等多数の唾液腺があり、消化の補助として唾液を分泌する。
口腔内粘膜は消化器粘膜の一部であり、味覚の補助機関でもある。粘膜は外皮に比べ分子量の小さな化学物質を吸収しやすいため、口腔内に食べ物が滞留しやすい事からも吸収器官の役割も担っていると言える。
口は、消化系の入り口であり、体表に開いた孔として認められる。その周辺には、餌を取り込むための筋肉が発達しているのが通例である。また、周辺に食物を取り込み、裁断するための構造が付属する場合が多い。それらの形は、取り込む食物の種類によっても大きく変化する。
口と健康

口は人が生命活動をしてゆく為に食物を取り入れる最初の体内であり、またそれゆえ外界からの異物に侵食され易い場所ともいえる。
また、栄養を取り入れるだけでなく、それらを味わい楽しむ場所でもあり、人生を活気付けることが出来る。それゆえ口腔内の異変は、歯を失った老人が一般よりも痴呆が速く進むなど、生活に様々な影響を与えてしまうとされる。また、口臭の原因にもなる。そのため、口腔の付属機関として、歯は健康に取り分け大きく関わるといえる。大きな歯は生後半年ほどで生え始め3歳頃には20本の乳歯が生え揃い、6歳ごろに乳歯から永久歯に生え変わり始め親知らずを含め上顎に16本、下顎に16本の総計32本が生え揃う。歯の生え方や歯並びは噛み合わせに大きく関与し、その良し悪しが心理的ストレスに限らず肩こりや頭痛、顎関節炎等の原因になる。また現代人の顎は食生活の変化により退化、顎が細化し歯並びが悪くなる者が多くなり矯正を必要とする人が増えてきたとされ、歯並びの歪みは現代病の一つとして挙げられている。
口の病気
口腔内の病気として、
虫歯又は齲歯・齲蝕(うし)
虫歯は古来家庭的環境に大きく左右されるという考えがあったが、近年家庭には特有の口内細菌叢が存在するということが発見され、遺伝よりもそれら細菌叢が大きく虫歯に関与しているという考えが一般的になってきており、それら細菌叢の交換が虫歯の予防に大きく役立つと言われている。see also→口腔微生物学
歯周病は歯周辺組織の疾患の総称であり、歯肉炎・歯槽膿漏・歯周炎を含む。
口内炎/アフタ性口内炎/カタル性口内炎
ベーチェット病は原因不明の疾患であり、口腔内に限らず全身の皮膚に起こる病気であるが、多くの症例に口内炎が併せて報告されている病気である。
口腔に生じる癌として、舌癌、頬粘膜癌、歯肉癌、口腔底癌がある。口内炎や歯肉炎と誤認されることも多く、歯科医師にも見逃される場合もある。異常が起こり治りにくい場合には専門医による診察を受ける方がよい。口腔外科、または頭首部癌の一部として頭頸科で扱われる。
上記が口腔内の病気として多く報告されているが、他にも様々な病因や病気があり、実際に何らかの症状がある時は、自己判断ではなく専門家にかかり見てもらうことが推奨される。
口腔の異常

先天的異常
口唇裂
口蓋裂
巨大歯
矮小歯
先天歯
染色体異常も参照のこと。
口具

口は様々な外部のモノを取り入れる体に開いた穴であり、様々な病気に侵されやすい。そのため、古来から口に用いる道具は装飾の目的より病気予防のモノが多かった。その中で歯磨きは最も一般的な行為の例であり、それに伴って歯ブラシは多くの変遷を経てきた。
日本では口腔掃除や除菌、口腔悪臭改善のために歯ブラシ、爪楊枝、糸楊枝、口腔用洗浄液、含嗽薬、トローチ等を用いる。
日本では、古代は抜歯という風習があったことが出土した骨から推測されている。平安時代後期から江戸時代にかけ、歯を黒く染める鉄漿(おはぐろ)または御歯黒(おはぐろ)という習慣があり、装飾と共に身分を表す手段として用いられていた。
現代では歯にプラスチックを用いたコーティングマニキュアにより見た目を美しくする技術がある。また、虫歯を防ぐ目的でフッ素に拠るコーティングを施す事がある。
通念

口は物事の始めという意味やモノを飲み込む穴を一般的に持つ。
1、味覚を表す事がある。「甘口の酒」
2、嗜好を表す事がある。「何でも行ける口」と表して好き嫌いなく食べられることを意味する。
3、食費の消費元を指す事がある。「口を減らす」と表して消費者を減らす事を意味する。
4、喋ることを指す事がある。「口が減らない」と表してよく喋る状態を指す。「口が重い」と表して寡黙であり口数が少ない状態を指し、 また反対に「口が軽い」としてお喋りを指す。「口が上手い」と表して話す事が上手であることを指す。
5、モノに開いている穴を指す事がある。例として「徳利の口」「間口」
6、物事の始めを指す事がある。例として「序の口」。また浄瑠璃で一段の最初部を口と言う。
7、物事の割り当てを指す事がある。「一口千円の寄付」
8、何かの処遇の行き先、受け入れ先を指す事がある。「就職口を探す」「嫁入りの口を探す」「口入れをする」
9、感触の良し悪しを表す事がある。「口当たりの良い人柄」
10、貝が貝殻を開く事を「貝が口を開く」と表現することがある。
医学

人間の口(臨床的・解剖学的には口腔「こうくう」、Cavum oris)は、食物を摂取するための器官である。
註:腔の本来の読みはこうであるが、稀字でもあり、古くからこう、くうの発音が混在していた。1943年(昭和18年)日本解剖学会の用語委員会が統一解剖学用語 (Nomina Anatomica) の翻訳を行った際に、くうと発音することを決定した(同音の別字(孔など)との区別のためと推測される)。以後、医学分野においては腔はくうと発音される[1]。膣#外部リンクも参照のこと。
構成する組織として、歯、口腔粘膜、舌、などがある。一般に口腔には常時一億以上の細菌が存在している。なお、歯垢の8割はそれらの細菌類の塊である。
口は、口腔の入口で口裂を上下より境する口唇、すなわち上唇と下唇よりなり、上下両端で合するところ、即ち唇交連の内側に口角をなしている。上唇の皮膚正中にある幅の広い縦の溝を人中(Philtrum)といい、また口角の外方から鼻翼の外側縁にいたる鼻唇溝と、下唇の下側に横に走っているオトガイ唇溝がある。 口腔は、これを口腔前庭と狭義の口腔に分けることができる。


く 【口】
1 (名)

〔仏〕 くち。また、言葉。
「―悪説」
→口業(くごう)
(接尾)
助数詞。
(1)人や動物などを数えるのに用いる。
「大きなる亀四―を売る/霊異記(上訓)」
(2)口のあいている器物を数えるのに用いる。
「瓶四―、坏四―/延喜式(神祇)」
(3)刃のある武器・農具を数えるのに用いる。
「太刀一―/延喜式(神祇)」
くち 【口】
0 (名)

(1)動物が飲食物をとり入れる器官。高等動物では頭部の下方にあって、唇・歯・舌があり、下あごによって開閉する。音声や鳴き声を発する器官ともなり、鳥類では嘴(くちばし)となる。
「―でくわえる」
(2)話すこと。声を出してものを言うこと。
(ア)話す時に使うものとしての口。
「―を開けば嫁の悪口ばかり」「―をつぐむ」
(イ)話す動作。声に出すこと。また、その言葉。
「―で言うほど簡単ではない」「―に出す」「―ほどでもない」
(ウ)(文章などによらず)直接話すこと。口頭。
「―で伝える」
(エ)うわさ。評判。風説。
「世間の―を気にする」
(オ)話し方。話し方のよしあしや多寡(たか)。
「―が悪い」「―が達者だ」
(カ)呼び出し。誘い。
「―がかかる」
(3)飲食すること。
(ア)飲食する時に使うものとしての口。
「―をつける」
(イ)飲食物を味わうものとしての口。また、味覚。
「―に合う」「―あたり」
(ウ)生活のために必要な量の食事をとるものとしての口。また、食事をする人数。
「―が干上がる」「―を減らす」「一人―(ひとりぐち)」
(エ)飲食する動作。飲み食いすること。
「酒は―にしない」
(4)通り抜けることができる空間。複合語としても用いる(この場合、多く「ぐち」となる)。
(ア)穴やすき間。
「傷の―」「船腹に―があく」
(イ)ものを出し入れする所。また、そこをふさぐもの。
「瓶の―」「―がかたくて抜けない」
(ウ)人の出入りする所。戸口。
「―が狭い」「登山―(とざんぐち)」「非常―(ひじようぐち)」
(5)〔(1)が体内への入り口であることから〕物事の初め。最初。
「序の―」「宵の―」
(6)物事を分類するときの、その一つ一つの類。種類の一。
「飲める―」「そっちの―がだめなら、別の―に当たってみよう」
(7)はいっておさまる所。
「嫁の―をさがす」「就職―(しゆうしよくぐち)」
(8)馬の口につける縄。
「馬の―をとる」
(接尾)
助数詞。
(1)口に飲食物を入れる回数を数えるのに用いる。
「一―で食べる」
(2)刀剣などを数えるのに用いる。
「太刀一―」
(3)多くの人から金銭を集める時の、出してもらう単位を数えるのに用いる。
「一―五千円で加入できる」
≫ (成句)口が上がる
≫ (成句)口がうまい
≫ (成句)口がうるさい
≫ (成句)口が奢る
≫ (成句)口が重い
≫ (成句)口が掛かる
≫ (成句)口が堅い
≫ (成句)口が軽い
≫ (成句)口が腐っても
≫ (成句)口が肥える
≫ (成句)口が裂けても
≫ (成句)口が過ぎる
≫ (成句)口が酸っぱくなる
≫ (成句)口が滑る
≫ (成句)口が干上がる
≫ (成句)口が減らない
≫ (成句)口が曲がる
≫ (成句)口から高野
≫ (成句)口から先に生まれる
≫ (成句)口から先へ生まれる
≫ (成句)口が悪い
≫ (成句)口食うて一杯
≫ (成句)口では大坂の城も建つ
≫ (成句)口と腹とは違う
≫ (成句)口尚乳臭あり
≫ (成句)口に合う
≫ (成句)口にする
≫ (成句)口に税はかからない
≫ (成句)口に年貢はかからない
≫ (成句)口に出す
≫ (成句)口に乗せる
≫ (成句)口に乗る
≫ (成句)口に針
≫ (成句)口に蜜あり、腹に剣あり
≫ (成句)口の下から
≫ (成句)口の虎は身を破る
≫ (成句)口の端
≫ (成句)口は口、心は心
≫ (成句)口は心の門
≫ (成句)口は禍のもと
≫ (成句)口は禍の門
≫ (成句)口塞がる
≫ (成句)口も八丁手も八丁
≫ (成句)口を合わせる
≫ (成句)口を入れる
≫ (成句)口を掛ける
≫ (成句)口を固める
≫ (成句)口を箝する
≫ (成句)口を緘する
≫ (成句)口をきく
≫ (成句)口を切る
≫ (成句)口を極めて
≫ (成句)口を過ごす
≫ (成句)口を酸っぱくする
≫ (成句)口を滑らす
≫ (成句)口を揃える
≫ (成句)口を出す
≫ (成句)口を叩く
≫ (成句)口を垂る
≫ (成句)口を衝いて 出る
≫ (成句)口を噤む
≫ (成句)口を慎む
≫ (成句)口を尖らす
≫ (成句)口を閉ざす
≫ (成句)口を閉じる
≫ (成句)口を濁す
≫ (成句)口を拭う
≫ (成句)口を濡らす
≫ (成句)口を糊する
≫ (成句)口を挟む
≫ (成句)口を引き垂る
≫ (成句)口を顰む
≫ (成句)口を開く
≫ (成句)口を封ずる
≫ (成句)口を塞ぐ
≫ (成句)口を守ること瓶の如くす
≫ (成句)口を毟る
≫ (成句)口を結ぶ
≫ (成句)口を割る
こう 【口】
(接尾)

助数詞。
(1)人を数えるのに用いる。たり。
「狛(こま)の虜(とりこ)十―を献ず/日本書紀(欽明)」
(2)刀などを数えるのに用いる。
「千―の剣/読本・弓張月(続)」
「口」に似た言葉≫ 類語の一覧を見る
くちばし 入口 出口 戸口 裏口



物語要素事典



★1.口に何かが入って妊娠する。

『嫗山姥』(近松門左衛門)  煙草屋源七(実は坂田時行)が切腹すると切り口から焔のかたまりが飛び出、女房八重桐の口に入る。八重桐は身ごもって、怪童丸(坂田金時)を生む。

『史記』「殷本紀」第3  殷の契の母は、燕の落とした卵を呑み、妊娠した。

『十八史略』巻4「南北朝」  梁の高祖武皇帝は、その母が菖蒲の花を呑んで、まもなく生まれた。

『捜神記』巻11−33(通巻295話)  零陽郡大守の娘が父の部下の書記を見そめた。娘は書記が手を洗った残り水を飲んで妊娠し、男児を産んだ。太守は、男児を部下たちの前に連れて行き、父親を捜させた。男児は書記の所まで這って行って抱かれようとしたが、たちまち水になってしまった〔*西行に関する類似の伝説がある→〔泡〕の泡子塚の伝説〕。

『酉陽雑俎』巻2−59  天が下した玄黄の気が玄妙天女の口に飛びこみ、彼女は妊娠して、三千七百年後に老子が生まれた。別説では、日精が母の口に入り、呑むと妊娠して、七十二年後に老子が生まれた、ともいう。

*→〔精液〕1の『クマルビ神話』(ヒッタイト)1「天上の覇権」・『今昔物語集』巻26−2・『マハーバーラタ』第3巻「森の巻」・〔誕生〕7の『二人兄弟の物語』(古代エジプト)・〔妊娠〕4の『西遊記』百回本第53回・〔星〕1の『三国史記』巻2「新羅本紀」第2・『捜神後記』11「流星を飲む」。

★2.口に何かが入る、と夢見て妊娠する。

『三国伝記』巻4−9  夢窓国師の母は観音に男児を祈り、金色の光が西から来て口に入ると夢に見、懐妊した。

『三宝絵詞』中−1  聖徳太子の母后は、金色の僧が「我は救世菩薩」と名のり口中に入る、と夢に見て懐妊した〔*『今昔物語集』巻11−1に類話〕。

『三宝絵詞』下−30  智証大師の母は、夢に空の日が口中に入ると見て懐妊した。

『太平記』巻12「解脱上人の事」  解脱上人は、その母が七歳の時、夢中に鈴を呑むと見て身ごもった子であるゆえ、ただ人にあらずとして三歳より仏門に入れた。

*→〔妊娠〕2の『神道集』巻6−33「三島大明神の事」・〔光〕2の『三国伝記』巻4−9・〔星〕1の『三国志演義』第34回。

★3.口に何かが入り才能を発揮する。

『西京雑記』巻1  弘成子は若い時、燕の卵ほどの大きさで模様のある石を、通りがかりの人からもらった。彼はその石を呑み込んで頭脳明晰となり、天下に知られた大学者になった。後に彼は病気になって石を吐き出し、その石を弟子の五鹿充宗に与えた。五鹿充宗もまた大学者になった。

『今昔物語集』巻11−9  空海が、土佐の室戸崎で記憶力保持の求聞持法を行じていると、明星が口に入った。

『平家物語』(延慶本)巻1−4「清盛繁昌事」  平清盛三十七歳の二月十三日夜半、「口あけ口あけ」と天に声あるを夢うつつに聞いて目覚め、口をあけると、武士の精という卵様のものが三つ喉に入る。それ以後清盛は心たけく奢りはじめた。

★4.口に何かが入ると夢見て才能を発揮する。

『蒙求』141所引『晋書』  晋の羅含は少年時、昼寝して、美しい鳥が口中に入る夢を見た。叔母が「将来文才を発揮するであろう」と夢解きし、羅含は後に文名大いに上がった。

★5a.口から食物を出す。

『古事記』上巻  オオゲツヒメが鼻・尻、及び口から、いろいろな御馳走を出し、料理してスサノヲに奉った。スサノヲは穢れた物を出されたと思い、怒ってオオゲツヒメを殺した。

『日本書紀』巻1・第5段一書第11  葦原中国のウケモチノカミ(保食神)が、首を国に向けて口から飯を出し、海に向けて口から魚類を出し、山に向けて口から獣類を出し、これらをツクヨミに奉った。ツクヨミは、口から吐いた物を勧められたことに立腹し、剣を抜いてウケモチノカミを殺した。

★5b.死者の口から花が咲く。

『黄金伝説』50「主のお告げ」  つねに「アヴェ・マリア」の二語を唱えていた騎士が死んだ。彼の墓からは、一本の美しい百合が生え出し、どの花びらにも「アヴェ・マリア」という金文字が記されていた。修道士たちが墓を開くと、百合の根は騎士の口から出ていた。

『往生絵巻』(芥川龍之介)  狩りに明け暮れる殺生好きな悪人・多度の五位は、法会の講師から「阿弥陀仏は、罪人も浄土へ救って下さる」と聞き、出家する。彼は「阿弥陀仏よや。おおい」と呼びながら、西へ西へと歩く。海辺まで来て、五位は松の木に登り、阿弥陀仏を呼び続ける。そのまま彼は死に、死骸の口には、真っ白な蓮華が開いた〔*原拠の『今昔物語集』巻19−14では、源太夫(=五位)の呼びかけに、海の中から阿弥陀仏が「ここにあり」と答える〕。

『じゅりあの・吉助』(芥川龍之介)  浦上村の某家の下男吉助は、切支丹宗門の信者となり、洗礼を受けて「じゅりあの」という名を与えられた。彼が役人に捕らえられ、磔(はりつけ)になった時には、大雷雨が刑場へ降り注いだ。死骸の口の中からは、一本の白い百合の花が咲き出た。 

★5c.口から、良いもの悪いもの、いろいろなものが出てくる。

『仙女たち』(ペロー)  高慢な姉と心優しい妹がいた。水を請う貧しい女に、妹は泉の水を汲んで与える。女は仙女であり、返礼に、妹の口から花や宝石が出るようにしてくれる。姉は仙女に水を与えず、口から蛇やひき蛙が出るようになる。妹は王子と結婚し、姉は森でのたれ死ぬ。

『雑談集』(無住)巻6−6「霊之事」  尾州に住まいする、筆者(=無住)の知人の妻が、物狂いとなった。これは、うわなり(=知人の愛人)が妻を呪咀したからであった。僧が加持すると妻は、呪いの人形や、熱田神宮の鳥居に打たれた釘を、口から吐き出した〔*同書には、蛙を口から吐き出す物語もある→〔蛙〕5〕。

★6.口は魂の出入りするところである。

『今鏡』「打聞」第10「敷島の打聞」  男が、ともし火の炎の上に愛人の姿が浮かぶのを見て驚く。男は「これは不吉だ。火の燃えている部分をかき落として、本人に飲ませねばならない」と言って紙に包むが、いろいろな用事にまぎれ、一日二日過ぎて愛人のもとへ行くと、すでに愛人は死去した後だった〔*愛人の身体から抜け出た魂を、もとの身体に戻そうとしてできなかった、ということである。『今昔物語集』巻31−8に類話〕。

『茶碗の中』(小泉八雲『骨董』)  若党関内が茶碗の中に映る見知らぬ若侍の顔を、茶もろとも飲みこむ。その夜から彼の身辺に、いろいろな怪事が起こり出す。物語は未完で、「魂を飲みこんだらどんな結果になりそうであるか、読者みずから解決されたほうがよいと思う」と結ばれる。

『変身物語』(オヴィディウス)巻12  ケンタウロスたちとラピタイ族が戦った時、ケンタウロスの一人キュラロスは、飛んで来た槍で致命傷を負った。彼の恋人ヒュロノメーは、自分の口をキュラロスの口につけて、魂の逃げ道をさえぎろうと試みたが、彼は息絶えた。

*→〔蛙〕5・〔魂〕2の『ドイツ伝説集』(グリム)433「眠る王」・461「眠る歩兵」・〔魂〕3aの『ドイツ伝説集』(グリム)248「小鼠」。

★7.怪物や猛獣の口に手を入れる。

『ほらふき男爵の冒険』(ビュルガー)「ミュンヒハウゼン男爵自身の話」  ミュンヒハウゼン男爵は、襲いかかる狼の口の奥までこぶしをつっこみ、内蔵をつかんで手袋のごとく表と裏を引っ繰り返して、狼を地面にたたきつけた。

『ローマの休日』(ワイラー)  大きな石板に彫られた顔に「真実の口」があり、嘘をつく人がそこに手を入れると噛み切られる、との伝説がある。身分を偽っている某国王女アン(*→〔旅〕2c)は、恐れて手を入れることができない。アメリカ人記者ジョーが片手を入れ、袖の中に手の先を隠し、噛み切られたふりをしてアンを驚かせる。

*→〔片腕〕2の『ギュルヴィたぶらかし(ギュルヴィの惑わし)』(スノリ)第34章。

★8.海鼠(なまこ)の口の起源。

『古事記』上巻  アメノウズメが大小の魚類を集め、「天つ神の御子にお仕えするか?」と問うた。皆「お仕えします」と答えたが、海鼠だけは返事をしなかった。アメノウズメは「この口は答えない口か」と言って、小刀でその口を裂いた。それで、今でも海鼠の口は裂けているのである。

*口の中の大空間→〔空間〕1に記事。

*頭の上にも口のある女房→〔のぞき見〕1aの『食わず女房』(昔話)。

*口と女性器→〔性器〕1dの『聴耳草紙』(佐々木喜善)89番「狸の話(狸の女)」。

*眠る人や像の口に、食べ物や血を塗りつけて、罪を着せる→〔濡れ衣〕1c。



名字辞典



名字 読み方
口 くち
名字辞典では、珍しい名字を中心に扱っているため、一般的な名字の読み方とは異なる場合がございます。

JMnedict



姓 読み方
口 くち
口 さきくち
口 はまのぐち



口臭こうしゅう)とは、人間または動物の口内及び吐く息によって出される悪臭である。人間の口臭は生活習慣や体内環境によって臭いの有無や種類が大きく左右される。牛などの動物に激しい口臭を持つものがいるが、これは主に牧草などの飼料が胃で発酵した際に生じる特定のガスが原因であり、人間の口臭とは質的に異なる場合が多い。

目次
1 原因
1.1 生理的口臭
1.2 病的口臭
2 対策
3 注釈
原因

口臭の原因は複数に分かれる。大きく生理的口臭(一時的なものを含む)と病的口臭(慢性的なもの)に分けられるが、それぞれの区分は相対的なものである。
生理的口臭
健康状態や年齢性別に関わりなく起こる口の臭いである。口の中が不快な感じになるため、後述する病的口臭に比べ本人に自覚症状があるケースが多いとされる。生活リズムや習慣、精神状態などに応じて発生する。口臭の多くがこの生理的口臭である。
生理的口臭の種類は数多い。以下に列挙する。
飲食(ネギ、ニンニクなど臭いの強い食品、アルコール類の摂取による)
舌苔の堆積
強いストレスや睡眠などによる口内の乾燥
膿栓によるもの
虫歯や歯周病といった口内環境や胃などの消化器系が悪くない場合であっても、口臭がする場合は膿栓による口臭が強く考えられ、口臭の原因の中でも膿栓由来の口臭の割合も多い。
喫煙によるもの
加齢によるもの
プレボテラ属系の細菌が加齢とともに増加し、同菌が生成するイソ吉草酸が揮発して不快臭を発する。
女性特有のケース
生理時の精神的不調によるもののほか、思春期や妊娠時にも血中ホルモンの変化や代謝が関係して息や唾液が臭うことがある。
病的口臭
慢性的な問題を孕んでおり、これらの多くは、他人からするとかなり強い臭いである場合が多いが、病気によるものであるゆえ本人の自覚症状がない場合も多い。
歯学的問題によるもの
虫歯や歯周病など口内における特定の細菌の繁殖(口臭のある虫歯は進度が大きいので要注意である)や、歯石が多く付着している場合に臭いが強くなる。病的口臭の多くが歯科的な問題によるものである。
内科学(耳鼻咽喉科学)的疾病によるもの
具体例として、慢性鼻炎、蓄膿症、慢性気管支炎、胃潰瘍、肝炎、糖尿病、消化器(特に胃の不全)の病気などが挙げられる。このうち肝炎や糖尿病の場合は特有のすえたような臭いがある(肝性口臭、アセトン臭)。そのほか薬品くさい臭い、二日酔いのような臭い、甘ったるい臭いを指摘された場合は、病気が潜んでいる可能性がある。
対策

歯ブラシや歯間ブラシ・洗口液で歯を磨き、舌や歯垢を清潔な状態に保つ、ストレスをためないといった日常的な対策から、前述の原因の除去などがあげられる。

こうしゅう ―しう 0 【口臭】
口からはき出される息の不快なにおい。歯や口腔の疾患に由来するものが多いが、ほかに糖尿病や食道・胃・肝臓などの疾患も原因となる。



歯科用語


口臭(こうしゅう)
歯周病、舌苔(ぜつたい)、タバコのやに、にんにくなど強い匂いのある食事、ストレスなどによって起こる口の臭いのこと。


実験動物症状観察用語集


口臭
【英】:Halitosis

口腔、上気道、食道、胃等の疾患に由来するがその他呼吸器疾患によっても起こる。
マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル 程度
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